「救われた人格」

A. 式典の後に

 教会員Nさんの父上の埋骨式をされた牧師先生に、Nさんはお礼状を書かれました。
 本日は父の納骨式の司式をしていただきありがとうございました。・・・
 父の死はつらいものでしたが、次女の誕生など大きな恵みがたくさんあったこと、家族の絆が強くなったことと、感謝することがかえって多くありました。この聖句のように神の愛を宣べ伝える者になりたいと思います。…明日また順先生のメッセージを楽しみにしております。
 Nさんは、自分の信頼する牧師から聖書を学び、キリストと共に歩み、正しい信仰を持つ立派な人です。正しい信仰は、議論によって勝つのではなく、神さまの真理みずからが道を切り開き、勝利をおさめます。

B.聖書より

悪霊は彼らに言い返した。「イエスのことは知っている。パウロのこともよく知っている。だが、いったいお前たちは何者だ。」使徒言行録19章15節
 イエス様を信じてもいない人が、「パウロの述べ伝えているイエスの何よって命じる、出て行け」と、試しに悪霊に向かって言いました。ところが悪霊は言い返し、襲い掛かってきたのです。 個人的にイエス様に救われたという体験がなく、イエス様を救い主として受け入れてもいない人が、しっかりした人格を持つことは難しいのです。悪霊にとってもそのような人たちの人格ははっきりせず、「お前たちは何者だ」という表現になります。イエス様を真剣に信じていると、自分が救われ、いやされるだけでなく、他人をもいやし、喜びと平安とを与えられるようになります。また、自分の意志で決断し、行動することで、他の宗教や教えの勧誘にも対処できる、しっかりした人格が備えられるのです。

C.タイタニック号の遭難者を救助した、カルパチア号のロストロン船長

 1912年、1500名が犠牲になったタイタニック号の悲劇は、いくつもの人為的なミスや意図的な過ちが重なって起きたものでした。豪華さや収益増大のために、安全性が軽視されたこと、あわてて双眼鏡への鍵を引き継がなかったこと、救命ボートに関する法律を改正する責任を誰も負わなかったことなどが、犠牲者を増やすこととなったのです。上記の事故につながるリストは、各自がしっかりした人格を持っていれば、起こり得なかったものばかりです。
 それとは対照的に、自らの危険を顧みず、タイタニック号救助に駆け付けたのが、タイタニックから60マイル付近を航行していた英国船カルパチア号(ロストロン船長―Rostron)です。ロストロン船長は、タイタニック号の遭難信号を受信すると、直ちに針路をタイタニックへ向け、全速で救助に急行しました。事故から約4時間後、カルパチアは危険な氷山海域を抜けて遭難地点に到着し、タイタニック号の救命ボートに乗っていた706名を救助しました。
 ロストロン船長は、全乗組員を救助の準備にあたらせ、全てのボートを船外に吊し、いつでも降ろせるようにしました。暖かい飲み物と毛布、救助用の照明を用意させ、見張りを増員しました。また、舷門(げんもん―船の側面の出入り口)を開けておき、生存者の引き揚げに備え梯子、荷物用のクレーン等を用意させました。すべての命令を下すと、ロストロン船長は席を外し、物陰で一人静かに頭を下げ、長い時間祈る姿が目撃されています。船長は篤い信仰を持つクリスチャンでした。ロストロン船長は後に、アメリカ大統領からホワイトハウスに招待され、名誉勲章を授けられています。
 人格とは、この世に流されず、人の言いなりにならず、正しいことのために立ち上がることです。ロストロン船長は、キリストによって救われた人格により、誰も為し得なかったタイタニック号遭難者の救助を成し遂げたのです。

D.結び

 キリストに対して中途半端な信じ方をしていると、他人をいやせないばかりか、自分自身をも傷つけることになります。真剣にキリストを信じ、救われた人格をもって他人をもいやし、喜びと平安とを与える人となりましょう。
御翼2010年12月号その3より

 
  
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